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須磨区白川台の耳鼻咽喉科クリニック  田坂耳鼻咽喉科です。

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〒654-0103 神戸市須磨区白川台6丁目23−2 ルナドーム1F


田坂耳鼻咽喉科

喉頭疾患LARYNGEAL DESEASE

症状と病気

喉の痛み

いつもののどの痛みの場所とは少し違い、のどの奥で嚥下時に猛烈な痛みを感じ、声もおかしくなっている、食事もままならないくらい痛いのに、医者(耳鼻科以外)に行っても、たいしたことはないといわれ鎮痛薬を処方されるのみで、最後に重大な結果をもたらす病気があります。 急性喉頭蓋炎です。 
  喉頭蓋とは、その名の通り嚥下の際に気管にものが入らないように、気道の入り口の喉頭に蓋をする器官ですが、ここが炎症を起こすと、前述の症状とともに最悪の場合窒息にいたります。 耳鼻咽喉科領域の炎症性疾患で最も致死率が高く、毎年のように疾患の見逃しによる死亡で訴訟が起こされる(他科)疾患です。 
  私はこれを見つけるとぞっとします。 入院待ちの点滴の最中に窒息したり、病棟に向かうエレベーターの中で窒息を起こして、いずれも、緊急輪状甲状膜切開術、緊急気管切開術(ともに気管に穴をあけて、気道を一時的に確保する手術)を行い救命し得た時の緊張感が甦るからです。 
  耳鼻科医は喉頭鏡で喉頭蓋や、声帯、食道入口部を観察しますので、見逃すことはまずありませんが、他科の先生では無理です。治療開始から8時間が山で、主治医はいつでも気管切開ができる準備をして待機しなければなりません。 頻度はそう多くはない病気ですが、年に何人かは遭遇します。 
ポイントはいつもののどの痛みとは場所が違う、痛みもひどく、声もおかしく、含み声や声がれを伴うことが多い という点です。この場合は他科でたいしたことはないと言われても、耳鼻科医に相談されることをお勧めします。 TVの番組の台詞ではないですが、放っておくと大変なことになる疾患です。


 咽喉頭異常感症

この項は解説というより私の感想という色合いになりました。 それほどにまだまだ分からない点が多い症状だと考えています。
のどがいがいがする。 何か異物があるような感じがある。 なんとなくつまった感じがする。 このような症状を訴えて来院される患者さんは多くいます。 正確な原因は未だ不明といわざるを得ませんが、かつて咽喉頭異常感症研究会という学会があったことでも分かるように、局所的要因、精神的要因、全身的要因などが複雑に絡み合っているというのが現況でしょうか。
 最近になって、披裂部粘膜(食道と気管との境界)のむくみや赤みがある場合は、逆流性食道炎が原因という説が急速に広まって、咽喉頭酸逆流症(LPRD)なる病名も生まれました。 これを正確に診断するためには胃カメラで、胃・食道接合部付近が胃酸で炎症を起こしていることを証明する必要がありますが、耳鼻科医がとりあえず試みる方法として、PPI(胃酸を弱める薬)を2週間ほど飲んでもらって症状の改善がみられるかどうかを調べる治療的診断を推奨する先生もいます。 
 このため全国の耳鼻科医院で胃潰瘍治療薬が一斉に使われ出したという、奇妙な現象が起きました。 しかし、明らかに胸焼けやげっぷなどがひどい方は別として、保険診療の観点からは問題を含むやり方だと思います。 

  当院では咽喉頭酸逆流症も念頭に置きながら、まずは慢性副鼻腔炎などで常に後鼻漏がのどを刺激していないか、慢性咽頭炎慢性喉頭炎舌根扁桃肥大などはないか、そしてなによりも喉頭癌下咽頭癌などの重篤な病気が隠れていないかを徹底的に調べることにしています。 全身的な要因としては、自律神経失調症を示唆するような他の症状がないか、貧血気味ではないかなどを問診で留意します。 精神的要因としては、うつ病や極端な癌不安症(身内をのどの癌で亡くされたような方は特に)などがあげられます。 
  一旦異常を感じたら、ついついのどに意識がいき、結果的にさらに異常感を増大させ不安に駆られる悪循環が続きますので、問診や詳細な検査の結果 「今の所悪性な病気は見あたりませんよ」と のどを供覧して説明するだけで、症状が消失する患者さんも多くおられます。


喉頭と嗄声

嗄声 (声がかすれる、声が出にくい)

 一口に声がかすれるといっても、専門的にいうといろんな声の出方があり、耳鼻科医は患者さんの声を聴いて聴覚印象でだいたい病気の状態が想像できます。がらがら声は一般に粗造性嗄声と呼び、喉頭ポリープなどでみられます。気息性嗄声は、息が漏れてすぐに息継ぎをしなくてはならず、声帯が十分に閉じていない状態の時に起こり、急性喉頭炎や声帯麻痺などで生じる最も一般的な声がれです。力のない弱々しい声は無力性嗄声と呼び、高齢の方であまり会話をしない方や、退職後、急に声を使わなくなったような方に見られ、声帯が痩せています。はっきりとした力強い声が出にくい状態です。

この項目は文章ではなかなかニュアンスが伝わらないので写真で説明していきます。
(なお、掲載している写真は、全て私が撮ったもので他からの借用は一切ありません。このホームページで使用しているものはイラストを除いてすべて全て同様です。)

 正常喉頭所見
写真のV字型をした白い帯が文字通り声の帯、声帯です。 よくバイオリンの弦のようだとたとえられます。ぴんと張った実に美しい構造をしています。声を出すときにはこれが真ん中でぴたっと接触して、呼気によって受動的に振動して、声が出るわけです。決して積極的に動くのではありません。 上方左右に見える深い溝が食道入口部、声帯と食道入り口部を境界する部が、披裂部と呼ばれる部分です。前述の項を参照ください。これが、正常な喉頭・下咽頭の所見です。  声帯の長さは男性平均20ミリ、女性平均15ミリですから、器官としては非常に微細ということを念頭に置いておいてください。(以下はこの声帯と比較して見て下さい) 正常喉頭と下咽頭 写真

疾患概念

 急性喉頭炎                                     

声が出ないとの訴えで来院された患者さんです。偶然、白い腫瘤(嚢胞)を見つけましたが、よほど大きくなり症状が出るまで放置して構いません。声帯の色を上の正常声帯と比べると両側とも発赤が著明で、本人はかすれ声しかでません。声の安静(沈黙療法)・部屋の加湿などが治療法ですが、現代人でしゃべらずに過ごせる人は稀ですので苦労します。無理に声を使うと声帯ポリープができる事もありますので、極力声を使わないことです。ステロイドを入れた喉頭ネブライザーが効果的です。他にも炎症では、稀ですが、結核や、ジフテリアなどがあります。 急性喉頭炎 写真 喉頭嚢胞写真

 急性声門下喉頭炎

炎症が進行し、声帯の下から気管の方へ発赤と腫脹がみられます。声が出ない(失声)とともに、犬が吠えるような太い咳(犬吠様咳漱)が出ます。成人では声帯より気管の方の粘膜が次第に腫れてきますので、呼吸困難が生じることもあり、窒息状況に陥ってもすぐ対処できる様に、入院して経過を見る必要があります。このような状態を米国ではクループと呼んでいますが、日本では歴史的にジフテリアによるものをクループと呼び、その他の原因を仮性クループと呼んでいたため、現代でもその名残が残っており、小児では未だに仮性クループとも呼ばれます。 急性声門下喉頭炎 写真

 急性喉頭蓋炎

左上が正常な喉頭蓋。喉の痛みの項で記したように、喉頭蓋は嚥下時、喉頭が挙上すると同時に喉頭に蓋をして、食物が気管に流入しないように働く。上左→下右→下左の様に悪化していき、呼吸困難から窒息に至る。のどが痛いという訴えの時、見た目はそう悪くもないのに食事がとれないというときには必ず喉頭鏡でここを診ておかなければ生命に関わります。下2例では、呼吸困難のため、緊急入院し気管切開の上、抗生剤・ステロイドの大量投与に至りました。
喉の痛みの項で記したようなことに十分ご注意ください。耳鼻科医ではまず見逃すことはありませんが、内科の先生方はご留意を。
喉頭蓋正常写真急性喉頭蓋炎 写真 1急性喉頭蓋炎 写真 2急性喉頭蓋炎 高度 写真 3


 喉頭ポリープ

成因は不明ですが血管破綻説(血まめ)が有力です。声をよく使う人や力んだ発声をする人に多く、張りのある声がでなくなった。声を使うと喉に疲れを感じ、「アー」と長く発声できない人は要注意。小さなものは声のリハビリで消えることもありますが、基本的には手術が必要で、左のように全身麻酔で声帯を動かないようにし、顕微鏡で拡大しながら切除するのが一般的です。 喉頭ポリープ 写真 1喉頭ポリープ写真2 ラリンゴマイクロ手術写真

 浮腫状声帯
声帯が水ぶくれのようにむくんで、雑な声になります。女性に多く、スナックで働く人のように、喧噪の中、アルコールを飲み、煙草の猛煙の中で大声で会話する人に特徴的な病態です。手術で声帯を正常な形に戻しますが、職場環境が同じであればすぐ再発します。 浮腫状声帯 写真 1浮腫状声帯 写真 2

 声帯結節

保育士さんや学校の教諭の職業病ともいえるのがこの声帯結節。声帯の前方三分の一位の所に丘の様に隆起したものが両側にみられます。元々はドイツ語でゼンゲルクノッチヘン、英語でsingers nodule、いずれも歌手の結節ですが、邦訳で優雅な「謡人結節」になりました。指にできるペンだこのようなもので、声の酷使がもたらします。時に学童にもみられ「学童結節」とも呼ばれますが、たいてい声変わりとともに消失していきます。 謡人結節(声帯結節) 写真

 喉頭肉芽腫


声帯突起部に生じる炎症性肉芽腫。原因は広義の外傷による。過激な発声や咳漱によって左右の声帯突起が互いに強く接触し接触性肉芽腫をつくる。全身麻酔は声帯を超えて気管チューブを挿管する(声帯ポリープの写真参照)ので長時間にわたると挿管性肉芽腫を作ることもある。症状は喉の違和感と声がれ、最近はPPI(胃酸を弱める薬)と発声訓練、または手術が行われる。 喉頭肉芽腫 写真 1喉頭肉芽腫 写真 2

 反回神経麻痺(声帯麻痺)


反回神経とは声帯を開閉する運動神経で迷走神経の枝からなり、左は大動脈を、右は鎖骨下動脈を前から後ろにくるりと反回して気管・食道の横を上行し、喉頭に至る。写真は発声時のものだが、向かって右(左声帯)が中心に寄って来ず、声帯が萎縮している。原因不明の事が多いが、時に反回神経を巻き込むような病変、食道癌・甲状腺癌・大動脈瘤・肺がん、などでも生じるので、まずは、これらの病変を除外する必要がある。症状は急に起こる声がれ、声帯が閉まらないための誤嚥である。保存治療で治癒しない場合、声帯を内側に寄せる甲状軟骨形成術などが行われる。 反回神経麻痺 写真


 喉頭癌


以下はすべて喉頭悪性腫瘍です。右から喉頭癌T1、喉頭癌T2、喉頭癌T3、喉頭悪性リンパ腫です。
私が研修医の時、先輩から嫌と言うほどたたき込まれたこと。「癌年齢に達した喫煙男性が、風邪もひいていないのに10日以上声がかすれたらまず喉頭癌を疑え!」これは今でも当然のことで、喉頭癌は数多く見つけ治療し、開院してからは放射線や手術のできる施設に紹介してきました。
喉頭癌は男性が女性の10倍ほど多く、肺がんと同様喫煙と密接に関連するとされていますので、前述の先輩の教えに該当される男性は、必ず喉頭癌の有無をチェックしてもらってください
早期発見は声を失うことなく直せます。T1は放射線単独で、T2は放射線と抗がん剤、T3は残念ながら、喉頭全摘術になりますので、代用音声として食道発声、あるいは人工喉頭を使わねばなりません。悪性リンパ腫は扁桃にみられるのが多いのですがこの例は成人T細胞リンパ腫で、あっという間に白血病化して不幸な転帰をたどりました。
喉頭癌初期 写真喉頭癌中期 写真喉頭癌進行例 写真喉頭悪性リンパ腫 写真

                                 

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