症状と病気
舌が痛い時はまず全体がピリピリしたり、はれぼったい時はカタル性舌炎。舌をだすと、舌の両側にくっきりと歯形がついているような時は舌全体が少し腫れています。痛みが限局している時などはたいていアフタ性口内炎でしょう。 ただ発赤している場合もありますが、たいていは紅暈を伴って1〜5ミリ大の円形の潰瘍状に白くなっています。口腔内に再発性の難治性のアフタ・目や陰部の病変を伴う場合は、希ですがベーチェット病も考えなくてはなりません。舌側縁に白い潰瘍があり周囲に固い土手状の硬結があって、潰瘍が次第に増大していく時は舌がんの可能性があります。アフタの治療をしても全く治らず次第に悪化するならまず、舌がんを疑います。よくベロを引っ張り出して奥をみると、ぶつぶつがあるといって飛び込んで来られる患者さんがいますが、これは有郭乳頭といって、味を感じる部分ですからなければ困ります。身内や知人を舌がんで亡くされたような方は、一種の癌恐怖症になって、何でもないことが気になってしまいます。舌がんは、歯に接触する場所にできるのが大半です。真ん中や先端は稀です
口腔内に痛みを出す病気は多彩で、最もポピュラーなのは乳幼児の手足口病でしょう。手や足に紅斑や疱疹がなく、口内症状のみの場合はヘルパンギーナといいます。そのほか、ヘルペス、帯状疱疹なども時にみられます。
年に一度位、ほほの奥に白いレース状の線を伴って赤く痛いといってこられる患者さんがいますが、これも希な扁平苔癬です。カビが生えているといわれ、カビの薬を塗っておられた方もいました。
さて、のどの痛みに移りましょう。まずは風邪に伴う咽頭炎、これはたいていウィルスによるもので、全体が均等に赤くなっているものをびまん性咽頭炎、ぶつぶつができている様にみえるのが濾胞性(顆粒性)咽頭炎です。通常は抗生剤は不要で、消炎鎮痛剤や、粘膜修復剤などで一週間程度で治癒します。しかし、治癒の過程で、のどが過敏になって、鼻呼吸をして、暖かく湿った汚れのない空気を吸っていると何もないのですが、会話して口呼吸をするとのどが刺激され咳発作が誘発されることもよくあります。「風邪症候群後の上気道過敏症に伴う咳漱」と定義されています。2週間以上続く方もおられるので、早くのどの過敏性を直すのが肝要です。扁桃は以前は扁桃腺と言われていましたが、今はただ扁桃といいます。カタル性扁桃炎→化膿性扁桃炎→扁桃周囲炎→扁桃周囲膿瘍とどんどん悪くなりますので、早期の的確な治療が必要です。抗生剤が効かない耐性菌が多くありますので、注意しないと入院して扁桃周囲を切開排膿する羽目に陥ることもあります。特に働き盛りの男性は、我慢に我慢を重ね無理をするので、受診をした時には既に診療所レベルで治療する段階を超えていることが多く、高熱と痛みと含み声ですぐに分かるので、その場で病院を紹介すると、たいてい即入院となっています。
病気概要