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ここでは、耳の症状と病気の簡単な解説をしていますが、あくまで私見であり、病気には様々な側面があって、医師一人一人にはまた独自の経験と知識に裏打ちされた様々な対応や治療のやり方があります。かかりつけの先生とよく相談されることをお勧めいたします。
正常鼓膜です
(以下に述べる病気の写真と比較してください)
耳介(耳たぶ)に写真のような白い皮膚の落屑を認め、多くはこれが外耳道入り口部にまで達しています。または、外耳道入り口のみにみられる外耳道湿疹(右の写真)も多くあります。 一旦生じると痒みが激しく、無意識にも触って掻きむしります。早期に軟膏などで治癒させないと枕が血まみれになる事もあります。 |
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両タイプの耳垢とも、たいてい耳掃除でとっているつもりで、実はどんどん中に押し込んでいったものです。湿型の場合は柔らかすぎて、道具ではつかめない、吸引しても取れないことが多い。この場合は耳垢をもっと柔らかくして、吸い取ったり洗い流したりするため、耳垢水を使います。 | ![]() ![]() |
大人と子供では内容が異なります。幼児はビーズやビービー弾などのおもちゃ。成人は、綿棒の綿の部分や押し込んで固めた毛髪等です。写真は羽虫です。鼓膜の上を動いていました。 このような有生異物の場合は、光を当てると出て来ると思って懐中電灯を向ける方もおられるようですが、一般的に外耳道にはまり込んだ虫は回転できず、ばたばた動いて痛むばかり。体温程度の水を入れて窒息させ洗い流すのが正解です。夜釣りをしていて小さなカナブンが耳に飛び込み、鼓膜をガリガリやられて救急車で病院に駆けつけた方もおられました。ものすごい痛みと騒音でのたうちまわったそうです。 | ![]() |
患者さんに、「耳の中にカビがはえていますよ・・」とそっと伝えると、皆さん「えっカビですか?ショック・・」と絶句されます。 元々耳の入り口から三分の一は通常の皮膚で自浄作用があり、カビなどはえる余地はないのですが、それより奥、前述の骨部外耳道は薄い0.1ミリの皮膚がはっているだけですので、毎日毎日耳掃除に励んで、ご自分の耳を気持ちよく痛めつけられ傷つけられておられる方々や、慢性中耳炎でいつも耳が湿潤している方、慢性中耳炎の手術で広く骨を削開されておられる方などで、外耳道奥の局所免疫力が落ちている時には、普段悪さをしないカビが炎症を引き起こします。 カビの正式名称が真菌です。外耳道にはえる真菌の7〜8割はアスペルギルス属で、残りの大半はカンジダ属です。 症状は痛痒さと耳漏で、最初は他の菌との混合感染でわかりにくいのですが、経時的に正体を現してきます。 治療は臨機応変に臨まねばなりませんが、真菌はなかなかにしたたかで難治です。 | ![]() |
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耳たぶや耳の入り口に水泡やかさぶたができて時に痛みを伴う時には注意が必要です。帯状疱疹です。これが顔面神経麻痺やめまい・難聴を起こせばハント症候群と呼びます。麻痺が先で水疱が後の事もあります。この麻痺は難治ですので要注意 | ![]() ![]() |
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![]() 上の一連の写真は受傷から治癒まで一週間ごとにみたものです。これは、平手打ちで鼓膜穿孔が生じたもので、左が受傷直後の鼓膜所見で、鼓膜の前方が破れその他の部分にも内出血がみられます。このような時は、どうするかというと wait and see (見ながら待つ)つまり、耳を清潔に保ち、受傷直後は感染防御のため数日抗生剤を服用してもらいますが、後はじっと自然治癒を待ちます。上の写真は順に一週間後、二週間後、三週間後ですが、三週間で、かさぶたが完全に鼓膜を閉鎖し治癒していることが分かります。この間、耳に水が入らないように注意し、どのくらいのペースで鼓膜穿孔が閉じているのかをみます。だいたい順調に行けば3〜4週間で鼓膜は自然に閉鎖しますが、それでも閉鎖しないときには介入し、鼓膜の辺縁を新鮮にしたりします。診断書を求められれば全治約3〜4週間と記されることが多いようです。喧嘩のようなものでこれを起こせば、立派な傷害罪で刑事罰に処せられますが、家人や知人などが相手の時は、状況によって異なり、虐待などの場合は、診断書を持って訴えれば立派な刑事責任が生じます。たいていは家人かあるいは所属クラブの監督から殴られたとの事で、事を荒立てたくないという方が大多数で、訴えることは少ないようです。 一方、耳かきで掃除中にこどもが当たってきたりして、耳かきや綿棒が鼓膜に刺さって起こる鼓膜穿孔を直達性鼓膜穿孔と呼び一般に介達性より、重傷の事が多く、汚れたものが鼓膜に刺さった訳ですから、感染を起こし急性中耳炎を発症する事が比較的多くなります。この際は中耳炎をしっかり治し、後は閉鎖を待つだけですが、一般に介達性よりは閉鎖期間が長くなる傾向があります。時にはめまいを起こすこともあり、手術が必要な例も散見されますので、耳掃除をどうしてもしたい人は回りに人がいないことをどうぞご確認を。 |
急性中耳炎
ページトップにある正常な鼓膜をご覧の上で以下を見てください。急性中耳炎ではこのようになっていきます。右の写真の様では痛みも強く、聞こえも悪いので、切開排膿が必要でしょう。原因は、風邪で鼻汁が多く、のども炎症を起こしている時など、鼻の奥の上咽頭にある耳管(鼓膜の奥の鼓室と、のどをつなぐ換気のための器官)から、ウィルスや細菌が鼓室に入って炎症を起こします。 | ![]() ![]() |
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滲出性中耳炎
鼓室に滲出液が貯留するこどもの難聴の原因となる代表的疾患で、液の性質によって、漿液性(水様)、粘液性、にかわ状の順で聴力が悪くなり、膠になると後ろから呼びかけても返事をしなくなるほど。私は大学ではこの疾患の原因や治療方針の研究に没頭し、当時の海外論文もすべてといっていいほど読破しました。そして開業後の患者さんへの対応から、下記の様な感想を持っています。お断りしておきますが、今や小児滲出性中耳炎ガイドラインが出版されており、これに沿った治療が進められています。以下は私の独断と偏見に満ちているかも知れません。そのつもりでお読みください。 まず、滲出性中耳炎は、年齢的にも、その成因からみてもまた、治療法からみても次の4群に分けられると思います。 第1群@ 0〜3歳時までの滲出性中耳炎 これは、持って生まれた耳管機能不全(嚥下をしても耳管を開く機能が弱い)上に、風邪などで膿性鼻漏や上咽頭炎を契機に発症したもの。治療法としては、鼻汁を止めたり上咽頭の炎症を治めたりして耳管周囲の環境改善に努める。鼓膜マッサージなどは全く無効とされている。 第2群A 4〜9歳の滲出性中耳炎 集団生活が当然となり、頻繁に風邪に罹患する。治療としては、ポリツェル通気が可能となる年齢(私は行いませんが)。耳管を開く力も次第に強くなり、少々の鼻汁や上咽頭炎にもまけず、耳管が開大するようになる。この時期も、風邪などで膿性鼻漏や上咽頭炎を契機に発症するが、副鼻腔炎の後鼻漏が絡んでいることが多く、蓄膿症があればまずこの治療を優先する。この時期、鼻汁やのどの炎症が何もないにもかかわらず数ヶ月以上滲出液が抜けない場合は、鼓膜切開や、チューブ留置を考慮する。9歳を上限としたのは、10歳〜12歳まで滲出性中耳炎が続いたら、将来、必ず後遺症が残るのとされているので9歳までに治らなかったらチューブ留置は必須と考える。 第3群 急性中耳炎後の滲出性中耳炎(全年齢だが低年齢では必発)。これは、上咽頭の環境も悪いし、耳管も炎症で開大不全が生じるために当然発症する。低年齢ほど発症率が高く、これを契機に数ヶ月に及ぶ滲出性中耳炎に至るケースもある。 第4群 65歳以上の高齢者(まれに壮年にも見られる) 成因は主として、@とは逆の耳管閉鎖不全(しっかりしまっているはずの耳管の閉鎖力が弱まる)、私が調べた口蓋裂例ではほぼ全例耳管は閉鎖不全でした。老化に伴うオスマン脂肪体(耳管を閉じる働きをする)の減少による閉鎖力の低下等が原因。もう一つ、幼小児期の不十分な滲出性中耳炎治療の結果、乳突蜂巣 の発育がほとんどなく、そのため唯一の換気路である、耳管周囲の環境悪化で発症するもの。 高齢者では大半でチューブ留置が必要になる 以上は、ガイドラインの記述を全く参考にせず、あくまで田坂個人の考えと治療方針ですので、繰り返し申し述べておきます。 |
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慢性中耳炎
鼓膜に慢性的に大中の穿孔が見られる。外耳道が汚染されて頻繁に急性増悪して、耳漏の流出をみたり、鼓室を潤す粘膜からの分泌物で湿潤していることがよくみられます。感染の反復などで、音を感じる聴覚細胞がある蝸牛に炎症が及び、聴力が徐々に低下すると報告されていますので、手術的閉鎖が望ましい。入院期間は最近は短く、一週間程度で済むようです。 | ![]() |
真珠腫性中耳炎
先天性に生じるものや、鼓膜や鼓室周辺の乳突蜂巣(蜂の巣のような空気の入った部屋)が陰圧になって生じるものが多いようです。慢性中耳炎の一種ですが、図のように真珠の様な上皮の塊が発育して周囲の組織を徐々に破壊していくので、絶対的な手術の適応です。放置すれば顔面神経を侵して顔面神経麻痺や、内耳を侵して激しいめまい、聾に至る難聴、脳に進展して髄膜炎などを生じるので、真珠腫疑いと診断されたら、CTなどで確認して、可及的すみやかに摘出すべき疾患です。 | ![]() |
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